■ 導入
レビー小体型認知症では、
幻視(見えないものが見える) が非常に多く見られます。
● 子どもがいる
● 黒い影が動く
● 誰かが立っている
● 動物がいる
● 物が変形して見える
これらは、
本人にとって“現実そのもの”であり、
強い恐怖や不安を引き起こします。
しかし、
幻視は “意味づけ” を変えることで、 恐怖から安心へと変わる ことがあります。
私は102歳の母の介護で、
この“意味づけの転換”が
最も効果的なケアのひとつであることを実感しました。
今回はその応用編をまとめます。
■ ① 幻視は「脳の誤作動」であり、本人の意思ではない
まず知ってほしいこと。
幻視は、本人の意思ではありません。
レビー小体型認知症では、
脳の視覚処理が乱れ、
実際には存在しないものが見えます。
だから、
● 否定しない
● 責めない
● 驚かせない
これが基本です。
■ ② 幻視は“意味づけ”で変わる
幻視そのものを消すことはできません。
しかし、
幻視の“意味”を変えることはできます。
● 怖い → 守ってくれている
● 不気味 → 優しい存在
● 危険 → 見守り
● 謎の影 → 光の隊
意味づけが変わると、
本人の感情が大きく変わります。
■ ③ 意味づけの基本ステップ
私は母に対して、
次の3ステップで意味づけを変えました。
● ステップ1:感情を受け止める
「怖かったね」
「びっくりしたね」
「大丈夫だよ」
● ステップ2:存在を否定しない
「そう見えるんだね」
「いるように感じるんだね」
● ステップ3:意味を変える
「その人はあなたを守りに来たんだよ」
「光の隊が見守っているんだよ」
「優しい影だよ」
■ ④ 実際に使った“意味づけの言葉”
母が見た幻視に対して、
私は次のように意味づけを変えました。
● ① 黒い影が動いている
母「黒い影がいる…怖い…」
私
「それはね、
あなたを守る“光の隊の影”だよ。
悪いものじゃないよ。」
● ② 子どもが立っている
母「子どもがこっちを見てる…」
私
「その子はね、
あなたのことが大好きで、
遊びに来たんだよ。」
● ③ 誰かが立っている
母「誰かがいる…」
私
「それは、
あなたを見守る“優しい人”だよ。
ずっとそばにいてくれるんだよ。」
● ④ 動物が見える
母「猫がいる…」
私
「その猫はね、
あなたの心を温めに来たんだよ。」
■ ⑤ 幻視の“物語化”が効果的
意味づけを変えるとき、
物語療法 は非常に効果があります。
例:
「光の隊が、
あなたの未来の道を照らしているよ。」
例:
「心の庭に、
春の光が降りているよ。」
物語は、
幻視の恐怖をやわらげ、
安心へと変える力があります。
■ ⑥ 幻視の“背景”を理解する
幻視は、
● 疲れ
● 体調
● 夜
● 暗い場所
● 静けさ
● こわばり
● 不安
これらが重なると強くなります。
だから、
幻視が出たときは
「体が疲れているサイン」
と理解することが大切です。
■ ⑦ 幻視が強いときの“環境調整”
● 部屋を明るくする
● 影を減らす
● 静かにしすぎない
● 手を握る
● ゆっくり声をかける
これだけで、
幻視の恐怖が弱まります。
■ ⑧ 家族が無理をしない
幻視の対応は、
家族の心にも負担がかかります。
だから、
● 5分だけ
● 3分だけ
● 1分だけ
短い時間でも十分です。
家族が倒れないことが、
本人を守ることにつながります。
■ まとめ
幻視は、
レビー小体型認知症の特徴です。
しかし、
“意味づけ” を変えることで
恐怖は安心へと変わります。
- 幻視は脳の誤作動
- 否定しない
- 感情を受け止める
- 意味づけを変える
- 物語療法が効果的
- 背景を理解する
- 環境を整える
- 家族も無理をしない
次回は、
第19回:レビー小体型認知症の“心の混乱”をやわらげる方法(深層ケア)
をお届けします。


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