第18回:レビー小体型認知症の“幻視の意味づけ”を変える方法(応用編)

介護の実践ノウハウ

■ 導入
レビー小体型認知症では、
幻視(見えないものが見える) が非常に多く見られます。

● 子どもがいる
● 黒い影が動く
● 誰かが立っている
● 動物がいる
● 物が変形して見える

これらは、
本人にとって“現実そのもの”であり、
強い恐怖や不安を引き起こします。

しかし、
幻視は “意味づけ” を変えることで、 恐怖から安心へと変わる ことがあります。

私は102歳の母の介護で、
この“意味づけの転換”が
最も効果的なケアのひとつであることを実感しました。

今回はその応用編をまとめます。


■ ① 幻視は「脳の誤作動」であり、本人の意思ではない

まず知ってほしいこと。

幻視は、本人の意思ではありません。

レビー小体型認知症では、
脳の視覚処理が乱れ、
実際には存在しないものが見えます。

だから、
● 否定しない
● 責めない
● 驚かせない

これが基本です。


■ ② 幻視は“意味づけ”で変わる

幻視そのものを消すことはできません。

しかし、
幻視の“意味”を変えることはできます。

● 怖い → 守ってくれている
● 不気味 → 優しい存在
● 危険 → 見守り
● 謎の影 → 光の隊

意味づけが変わると、
本人の感情が大きく変わります。


■ ③ 意味づけの基本ステップ

私は母に対して、
次の3ステップで意味づけを変えました。


● ステップ1:感情を受け止める

「怖かったね」
「びっくりしたね」
「大丈夫だよ」


● ステップ2:存在を否定しない

「そう見えるんだね」
「いるように感じるんだね」


● ステップ3:意味を変える

「その人はあなたを守りに来たんだよ」
「光の隊が見守っているんだよ」
「優しい影だよ」


■ ④ 実際に使った“意味づけの言葉”

母が見た幻視に対して、
私は次のように意味づけを変えました。


● ① 黒い影が動いている

母「黒い影がいる…怖い…」


「それはね、
 あなたを守る“光の隊の影”だよ。
 悪いものじゃないよ。」


● ② 子どもが立っている

母「子どもがこっちを見てる…」


「その子はね、
 あなたのことが大好きで、
 遊びに来たんだよ。」


● ③ 誰かが立っている

母「誰かがいる…」


「それは、
 あなたを見守る“優しい人”だよ。
 ずっとそばにいてくれるんだよ。」


● ④ 動物が見える

母「猫がいる…」


「その猫はね、
 あなたの心を温めに来たんだよ。」


■ ⑤ 幻視の“物語化”が効果的

意味づけを変えるとき、
物語療法 は非常に効果があります。

例:
「光の隊が、
 あなたの未来の道を照らしているよ。」

例:
「心の庭に、
 春の光が降りているよ。」

物語は、
幻視の恐怖をやわらげ、
安心へと変える力があります。


■ ⑥ 幻視の“背景”を理解する

幻視は、
● 疲れ
● 体調
● 夜
● 暗い場所
● 静けさ
● こわばり
● 不安

これらが重なると強くなります。

だから、
幻視が出たときは
「体が疲れているサイン」
と理解することが大切です。


■ ⑦ 幻視が強いときの“環境調整”

● 部屋を明るくする
● 影を減らす
● 静かにしすぎない
● 手を握る
● ゆっくり声をかける

これだけで、
幻視の恐怖が弱まります。


■ ⑧ 家族が無理をしない

幻視の対応は、
家族の心にも負担がかかります。

だから、
● 5分だけ
● 3分だけ
● 1分だけ

短い時間でも十分です。

家族が倒れないことが、
本人を守ることにつながります。


■ まとめ

幻視は、
レビー小体型認知症の特徴です。

しかし、
“意味づけ” を変えることで
恐怖は安心へと変わります。

  1. 幻視は脳の誤作動
  2. 否定しない
  3. 感情を受け止める
  4. 意味づけを変える
  5. 物語療法が効果的
  6. 背景を理解する
  7. 環境を整える
  8. 家族も無理をしない

次回は、
第19回:レビー小体型認知症の“心の混乱”をやわらげる方法(深層ケア)
をお届けします。

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